「筋肉を大きくしたいなら、とにかくたくさん食べればいい」
筋トレを始めたばかりの人は、一度はこのような情報を目にしたことがあるのではないでしょうか。
確かに、筋肉を成長させるためには十分なエネルギーが必要です。
しかし、ただ体重を増やせば理想の身体になるわけではありません。
食べ過ぎによって増えた体重の多くが脂肪になってしまえば、あとで長い減量期間が必要になります。
では、筋肉を効率よく増やすためにはどうすればいいのでしょうか。
この記事では、筋トレ初心者に向けて「増量期」とは何なのか、科学的根拠をもとに解説します。
(減量期についてもまた書きますのでご興味あれば見てみてね。)
増量期とは?
増量期とは、筋肉量を増やすことを目的として、消費カロリーより多くのエネルギーを摂取する期間のことです。
簡単に言えば、
「筋肉が成長できる環境を作る期間」
です。
筋肉を大きくするには、
- 筋力トレーニングによる刺激
- 十分なタンパク質
- 回復に必要なエネルギー
が必要になります。
特に、筋肉を作るには材料となるタンパク質だけでなく、その合成を支える十分なエネルギー(カロリー)も重要です。カロリーを怖がるな。
増量期=好きなだけ食べる期間ではない
んでも、増量期でよくある間違いが
「体重を増やせば筋肉も増える」
という考え方です。
もちろん体重を増やすことで筋肉量が増える可能性はあります。
巷にあふれる噂では一度がっつり太ってから筋トレし始めたほうがいいという人もおりますが、私は個人的には反対です。
確かに体重があるとその分挙げられる重量も上がり、効率的に筋トレできるのかなとも思いますが、脂肪を減らすのはなかなかしんどいものがあります。また脂肪を減らす=カロリーを維持カロリーよりも減らさなければならないということなので、筋肉をつける=カロリー余剰状態をキープするという状況と相反します。
一応初心者には脂肪を減らしつつ筋肉をつけることができる(ボディリコンポジション)いわゆる初心者ボーナスというものがあるのですが、わざわざ太ってからというのは必要ないかなと。(もともと体重が多い人なら積極的に狙っていくといいと思います。詳しくは単独記事で。)
もちろんカロリー摂取量が多すぎる場合、筋肉だけではなく脂肪も大きく増えてしまいます。
下記の論文では、筋肉を増やす場合、過度な脂肪増加を避けながらゆっくり体重を増やすアプローチが推奨されています。
参考:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5470183/
つまり、初心者が目指すべきなのは、
「大量に食べる増量」
ではなく、
「必要な分だけ食べる増量(リーンバルク)」
です。
初心者におすすめなのはリーンバルク
リーンバルクとは、脂肪の増加をできるだけ抑えながら筋肉を増やしていく方法です。
具体的には、
- 維持カロリーより少しだけ多く食べる
- 高タンパクな食事をする
- 筋トレの重量を伸ばす
というシンプルな方法です。
大きなカロリーオーバーを作らないため、減量期も短く済みます。
長期的に見ると、この方法のほうが理想の身体に近づきやすいと言えます。
増量期のカロリー設定
では、具体的にどれくらい食べればいいのでしょうか。
基本は、
維持カロリー+少しの余剰
です。
目安としては、
- 維持カロリー+約5〜15%
- 体重増加は週0.25〜0.5%程度
から始める方法があります。
例えば、
体重60kgの場合、
1週間で約150〜300g程度増えるペース
を目安にします。
増加スピードが速すぎる場合は、脂肪が増えている可能性があります。
増量期に必要なタンパク質量
筋肉を作るために欠かせないのがタンパク質です。
下記のメタ分析では、筋力トレーニングを行う人において、タンパク質摂取量を増やすことで明確に筋肉量の増加が促進されることが示されています。
これは49研究・1863人を対象にした大規模なメタ分析。
ざっくりまとめると、
- タンパク質補給は筋トレによる筋肉量増加を強くサポートしてくれる
- ただし、タンパク質量を増やしていく効果は徐々に小さくなる
- 除脂肪体重(筋肉など)の増加は約1.62g/kg/day付近で頭打ち傾向
- ただし95%信頼区間の上限が約2.2g/kg/dayだったため、最大化を狙うなら2.2g/kgくらいまで行ってもいいかな
という内容。
例えば、
体重60kgの場合
約95〜100g/日のタンパク質
が一つの目安になります。
ただし、これは「100g取らなければ筋肉が増えない」という意味ではありません。
継続できる範囲で十分な量を確保することが大切です。
私の場合は一日体重あたり2.0g/kg摂取できるように心がけていますが、体感的におそらく1.6g/kgの場合と大差はないかなと思います。この辺はおサイフや自分の食べたいものとか成長のスピード感どれくらいほしいかとかと相談。
参考:
https://bjsm.bmj.com/content/52/6/376
増量期の食事で意識すること
①タンパク質を毎食入れる
おすすめ食品:
- 鶏胸肉
- 卵
- 魚
- 赤身肉
- 大豆製品
- プロテイン
一度の食事だけで大量に摂るより、1日の中で分けて摂取するほうが管理しやすくなります。
②炭水化物を怖がらない
筋トレでは炭水化物も重要です。
炭水化物はトレーニング時のエネルギー源となり、重量を伸ばす助けになります。
筋肉を増やしたいなら、
「タンパク質だけ取ればいい」
ではありません。
バランスの良い食事が必要です。
③脂質も適量取る
脂質はホルモンや健康維持にも関わります。
極端に減らすのではなく、全体のバランスを見ることが大切です。
初心者が増量期で失敗する3つの原因
①食べ過ぎる
「早く大きくなりたい」
という気持ちは自然ですが、急激な体重増加は脂肪も増えやすくなります。
体重が週に0.5~1.0kgほど増えていればおそらく食べすぎです。もちろん日によって増減するものですが、自分のウエストと体重計を頼りに感覚を掴んでいきましょう。
②逆に少なすぎる
私のようなガリガリ体型にありがちなのがこれ。
日々十分食べているつもりでも、カロリーを計算してみると「あら?今日結構食べたつもりだったのに維持カロリーくらいしか摂れてない・・・」ということは多々あります。
やっているうちになんとなく感覚が掴めてくるものですが、初心者のうちは”あすけん”などのカロリー計算を助けてくれるアプリを用いて行うのが良いでしょう。
体重が思うように増えていなければこちらも疑ってみてください。
③筋トレの質を上げない
増量期で最も重要なのは、余ったカロリーを筋肉の成長につなげることです。
食事だけ増やしても、筋肉への刺激がなければ効率的ではありません。
重量や回数を少しずつ伸ばしていくことが大切です。
結局、初心者は増量期をやるべき?
結論として、多くの初心者にとって増量期は有効です。
ただし、
「何でも食べて体重を増やす」
必要はありません。
おすすめは、
- 維持カロリーより少し多めに食べる
- タンパク質を十分取る
- 筋トレの重量を伸ばす
- 体の変化を確認する
というシンプルな方法です。
筋肉作りは短期間の勝負ではありません。
少しずつ積み重ねることで、理想の身体に近づいていきます。
この記事のまとめ
✅ 増量期は「太る期間」ではなく筋肉を増やす期間
✅ 食べ過ぎるよりリーンバルクがおすすめ
✅ カロリーは維持量より少しプラスから始める
✅ タンパク質は体重1kgあたり約1.6gが目安
✅ 筋トレの成長とセットで考えることが重要
参考文献
Helms ER, et al. Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation.
Morton RW, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength.
身体を鍛え、道具を磨き、人生を冒険しよう。


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