「体重を落とせば、かっこいい身体になれる」
筋トレを始めたばかりの人は、そう考えてしまうことがあります。
しかし、理想的な身体作りで重要なのは、ただ体重を減らすことではありません。
大切なのは、
筋肉をできるだけ維持しながら、余分な脂肪を減らすこと
です。
この記事では、筋トレ初心者に向けて、減量期とは何なのか、どのように進めれば筋肉を守りながら脂肪を落とせるのかを科学的根拠をもとに解説します。
減量期とは?
減量期とは、体脂肪を減らすことを目的として、消費カロリーより摂取カロリーを少なくする期間のことです。
つまり、
エネルギー不足を作り、身体に蓄えられた脂肪を利用する期間
です。
しかし、ここで重要なのは、
「できるだけ体重を減らす」
ことではありません。
筋トレをしている人にとっての減量の目的は、
筋肉を残しながら脂肪を減らすこと
です。
ただ痩せることと、身体を作ることは違う
巷にはさまざまなダイエット方法が溢れかえっておりますが、例えば
体重70kgの人が食事制限だけで60kgになったとします。
確かに体重は減っていますから成功したように見えます。
しかし、その中身が、
- 脂肪 −5kg
- 筋肉 −5kg
だった場合、見た目は大きく変わらない可能性があります。
これは誤った方法でアプローチしてしまったため。これを繰り返してしまうと、筋肉がだんだん減って体重は50kgなのに体脂肪率が40%という体になってしまいかねません(実話)。
一方、
- 脂肪 −8kg
- 筋肉 −2kg
なら、同じ体重減少でも引き締まった身体になります。
筋トレをしている人が目指すべきなのは、後者です。
減量の基本はカロリー赤字
脂肪を減らすためには、
摂取カロリー < 消費カロリー
の状態を作る必要があります。
これをカロリー赤字(エネルギーデフィシット)と呼びます。
ただし、赤字を大きくしすぎると、
- 筋力低下
- 筋肉量低下
- 疲労
- 継続困難
につながります。
そのため、減量では「できるだけ食べない」ではなく、「必要な範囲で減らす」ことが重要です。
どれくらいのペースで減量するべき?
一般的には、
1週間あたり体重の約0.5〜1%以内
の減少が一つの目安になります。
例えば体重60kgの場合、
1週間で約300〜600g程度
です。
急激に体重を落とすほど短期間では結果が出ます。
しかし、その分筋肉も失いやすくなります。
長期的に良い身体を作りたいなら、ゆっくり進めるほうが成功しやすいです。
減量期のタンパク質量
減量期で最も重要な栄養素の一つがタンパク質です。
カロリー不足の状態では、身体は脂肪だけではなく筋肉もエネルギーとして利用しやすくなります。
そこで、十分なタンパク質摂取と筋力トレーニングによって筋肉を守る必要があります。
下記の論文では、自然なボディビルダーの減量期において、高タンパク質摂取が筋肉維持に重要であることが示されています。
参考:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5470183/
んで、ISSN(国際スポーツ栄養学会)のポジションスタンドでは、やっぱり減量中のアスリートには高タンパク摂取が有効であり、体脂肪が低い人ほど多めのタンパク質が必要になるとされています。
参考:
https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-017-0177-8
というわけで初心者の場合、まずは、
体重1kgあたり約1.6〜2.2g
程度を目安にすると管理しやすいでしょう。
結局のところタンパク質の摂取量に関しては増量期と減量期で大差はないということですな。
減量中も筋トレは続けるべき?
答えは、
絶対に続けるべきです。
減量中はエネルギー不足になるため、身体は省エネ状態になります。
筋肉はカロリーを多く消費するため、飢餓状態の体にとってはお荷物状態。
そんな時に筋肉へ十分な刺激がなければ、
「あら、この筋肉使ってないじゃん!じゃあ削っちゃお!」
と身体が判断しやすくなります。
そのため減量中も、
- 重量をできるだけ維持する
- 筋力低下を最小限にする
- トレーニング強度を保つ
ことが重要です。
有酸素運動は必要?
有酸素運動は減量に役立ちます。
しかし、必ず必要というわけではありません。
脂肪減少の基本は、
食事によるカロリー管理
です。
有酸素運動は、
「食事だけでは調整しづらい部分を補うもの」
と考えると良いでしょう。
例えば、
- ウォーキングを増やす
- 自転車移動をする
- 軽いジョギングを取り入れる
など、継続できる方法がおすすめです。
チートデイは必要?
減量中によく聞く「チートデイ」。
好きなものを大量に食べることで代謝が戻る、という話がありますが、ところがどっこいそうは問屋がおろしません。
一時は「チートデイでレプチンが回復して代謝が戻る!」みたいに言われることもあったけど、1日食べたから脂肪燃焼モードに戻る、というほど単純ではないみたい。
結局のところ全てはカロリー収支で決まるので、やりすぎは禁物。
もちろん一時的に食事量を増やすことで心理的なリフレッシュになる場合はありますので、週に一度、カロリーを計算しながら(昼にガッツリ食べるなら朝と夜は控えめにするとかね)とかならいいのかな~と思います。
減量期でよくある失敗
①食事を極端に減らす
「早く痩せたい」
という気持ちから、極端な低カロリーにする人がいます。
しかし、筋トレの質が落ち、筋肉も失いやすくなります。急がば回れ。
②体重だけを見る
体重は重要な指標ですが、それだけでは不十分です。
見るべきものは、
- 鏡での見た目
- ウエストサイズ
- 筋トレ重量
- 体脂肪率
などです。
③タンパク質、脂質を減らす
食事量を減らすと、タンパク質や脂質まで減ってしまうことがあります。
減量中ほど、タンパク質は意識しましょう。また見落としがちですが脂質もホルモンバランスを維持するのに必要不可欠。これも減らしすぎないように。
筋トレ初心者向け減量の進め方
おすすめの流れはシンプルです。体重60kg体脂肪率20%の人が減量する場合をモデルに見ていきましょう。
タンパク質は120g(体重1kgあたり2g)、脂質は48gを確保し、残りを炭水化物に配分します。
減量では脂質を極端に削るのではなく、筋トレのパフォーマンスを維持できるよう、タンパク質・脂質を確保した上で炭水化物量を調整することが重要です。
①現在の維持カロリーを知る
まず、自分がどれくらい食べれば体重が変わらないのか確認します。
自分の活動量や筋肉量にも左右されますが、ここでは維持カロリーが2400kcalと仮定します。
②少しだけカロリーを減らす
いきなり大幅に減らさず、
維持カロリーから10〜20%程度減らす
ところから始めます。というわけで今回は約2000kcal程度から開始。
③PFCを計算する
まずはタンパク質の量を計算。今回は120gとしましょう(体重1kgあたり1.6~2.2g)。
次に脂質。脂質は、
- ホルモン機能
- 細胞膜の維持
- 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収
などに関わるから、減量中でも一定量は必要。
一般的には総カロリーの20〜35%程度、または体重1kgあたり0.5〜1g程度を推奨。というわけで今回は48g程度としてみます。
これらを摂ったうえで余ったカロリーはすべて炭水化物に回します。
④カロリー計算
タンパク質
タンパク質は1gあたり4kcalなので、
カロリー:
120g × 4kcal = 480kcal
脂質
脂質は1gあたり9kcal。
カロリー:
48g × 9kcal = 432kcal
炭水化物
そして残りを炭水化物へ。
2000kcal − 480kcal − 432kcal
=1088kcal
炭水化物は1gあたり4kcalだから、1088 ÷ 4 ≒ 270g
というわけで1日の目安はこんな感じ。
| 栄養素 | 量 | カロリー |
|---|---|---|
| タンパク質 | 120g | 480kcal |
| 脂質 | 48g | 432kcal |
| 炭水化物 | 270g | 1080kcal |
| 合計 | 約2000kcal |
こんな感じで400kcalマイナスの日々を一ヶ月続けるとします。すると、400×30=12000kcal。
脂肪1kgはざっくり約7,200kcalだから、おおよそ脂肪1.5kg分ほど落ちます。すなわち体重が58.5kg、体脂肪率18%程度になるはず。
結局、減量期で一番大切なこと
減量とは、
「できるだけ早く体重を落とす作業」
ではありません。
本当に大切なのは、
筋肉という資産を守りながら、脂肪だけを少しずつ減らしていくこと
です。
焦って極端な方法を選ぶより、
- 適切なカロリー管理
- 十分なタンパク質
- 継続的な筋トレ
という基本を積み重ねることが、最終的には一番効率的です。つらいけど必ず効果は出るから一緒にがんばろうぜ!
この記事のまとめ
✅ 減量の目的は体重を落とすことではなく脂肪を減らすこと
✅ 筋肉を守るにはタンパク質と筋トレが重要
✅ 急激な減量より、継続できるペースが大切
✅ タンパク質は体重1kgあたり約1.6〜2.2gが目安
✅ 有酸素運動は補助として活用する
参考文献
Helms ER, et al. Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation.
Jäger R, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise.

身体を鍛え、道具を磨き、人生を冒険しよう。


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